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青島迎賓館・旧総督官邸(中国青島の旅・22、その壱)

    ◆総督官邸(現・青島迎賓館)
      ◎設計:シュトラッサー〔Strasser〕、マールケ〔Mahike〕、ラツァロヴィッツ〔L Lazarowicz〕
      ◎竣工:1907年
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 1907年に竣工したというドイツ総督府の官邸。
 私の泊まったホテルの展望レストランからもよく見えましたが、実際に行ってみると写真や遠目で見るよりもはるかに大きく、そして貫禄のある建物でした。
ドイツ租借地時代の総督官邸として使われていた建物は、山の中腹に位置し、周辺に広大な庭があり、門から入って建物まで辿りつくまで相当な時間がかかるという、凄い屋敷です。
そして建物のデザインもこれまた凄い。石張りに様々な装飾、そして中華風ともとれるエッセンスまでが加わって、独特な雰囲気を醸し出していました。
 壁の波模様のデザインは〔青島の旅・1〕で紹介した基督教堂と似ているのですが、そちらの軽やかなデザインとは違い本当に重厚です。

 少し余談になりますが、大正8年に当時帝国大学(東京大学)の建築学科の学生だった、堀口捨巳、山田守、滝沢真弓がここ青島へ訪れ、青島の建築探訪をおこなっています。
 特に滝沢にとって、この青島のドイツ建築との出会いは衝撃的だったようで、卒業設計には青島の総督府官邸などをモチーフとした『山岳倶楽部』なる図案を発表するほどでした。
 そして彼らは大正9年に『分離派建築会』に結成。大正期から昭和初期の日本建築界に新風を吹き込むのです。
 これ以前にドイツのモダンスタイル(ユーゲントシュティル、もしくはジャーマン・セセッション)を作風に用いた建築家は、デ・ラランデ、ヤン・レツル、関根要太郎など多くいましたが、町ごとこのスタイルの建物で彩られていた、青島は若き建築家の卵にとって衝撃的な場所だったに違いありません。

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                              小魚山より青島迎賓館を望む。基督教堂、天主教会、総督府、そしてこの官邸は、旧市街を歩くと遠くからでも一発で分かる・・・・。
by yotaro-hako-emura | 2007-08-25 11:52 | 中華人民共和国・青島

『関根要太郎研究室@はこだて』の番外編ページ。現在は中国・青島の歴史的建造物や町並みの紹介をおこなっております。


by yotaro-hako-emura
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